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「努力義務のコミュニティ・スクール」


 2018年4月現在で学校運営協議会制度を導入する「コミュニティ・スクール」(CS)は5432校で、前年同期に比べ1.5倍増となったことが、文部科学省の調査で明らかになった。17年4月から設置が努力義務化されたことに伴うもの。今後も更に広がっていくとみられるが、地域住民の学校運営参画という元々の趣旨とは別に、新たな役割も期待されていくことになりそうだ。
 CSが最初に提唱されたのは、2000年12月の教育改革国民会議(首相の私的諮問機関)。「地域が運営に参画する新しいタイプの公立学校」とされた。04年の改正地方教育行政法で制度化され、①校長が作成する学校運営の基本方針を承認すること②学校運営について、教育委員会又は校長に意見を述べることができること③教職員の任用に関して、教育委員会に意見を出すことができること──が主な役割とされた。
 設置校数は05年4月の17校から順調に増え、16年4月には2806校を数えたが、自治体が丸ごと域内の学校を指定するなど、依然として地域に偏りがあったのも事実だ。教職員人事の意見具申などの強力な権限が敬遠された側面もあった。
 一方で注目されたのが、「学校の応援団」的側面だ。CS先進自治体である京都市教委は、その典型でもある。ただ、それならCS制度を活用しなくても、昔から地域の中心的存在だった学校は少なくない。
 画期となったのが、15年12月の中央教育審議会答申「新しい時代の教育や地方創生の実現に向けた学校と地域の連携・協働の在り方と今後の推進方策について」だ。これからの学校と地域関係について▽地域とともにある学校への転換▽子どもも大人も学び合い育ち合う教育体制の構築▽学校を核とした地域づくりの推進──という姿を描いた上で、CSについても「学校を応援し、地域の実情を踏まえた特色ある学校づくりを進めていく役割を明確化する」と提言。すべての公立学校がCSを目指すべきだとした。設置の努力義務化は、これを受けて行われた。
 そんなCSには、新たな役割も期待されている。まず、答申も想定していた「地域に開かれた教育課程」の推進だ。15年12月は同時に「チーム学校」答申も行われたが、新学習指導要領の実施のためには担い手も含めて地域の理解と協力が前提になる。
 さらに存在感を増しそうなのが、「学校の働き方改革」との関連だ。教職員の業務を「仕分け」して登下校の見回りなどを担ってもらうにも、地域の協力を得る場が欠かせない。「学校の応援団」は、単なるキャッチフレーズではない。

 

(渡辺敦司/教育ジャーナリスト)

渡辺 敦司(わたなべ・あつし)

1964年、北海道生まれ。
1990年に横浜国立大学教育学部を卒業して日本教育新聞社に入社し、編集局記者として文部省(当時)、進路指導・高校教育改革などを担当。
1998年よりフリーとなり、「内外教育」(時事通信社)をはじめとした教育雑誌やWEBサイトを中心に行政から実践まで幅広く取材・執筆している。

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