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「共通テスト試行調査」

 大学入試センタ一試験に代わって2020年度から導入される「大学入学共通テスト」をめぐり、17年度の「試行調査(プレテスト)」が11月13〜24日、全国約1900校の高校と中等教育学校を協力校として実施される。
 協力校に配布された趣旨説明文書によると、試行調査は、探究の過程等をより重視した新たなねらいの問題を出題した場合の正答率や解答の傾向等を分析するデータを集めるために実施する。出題される問題は、あくまでも検証のためのものであり、問題構成や内容が必ずしもそのまま20年度からの本テストに受け継がれるものではないことに注意を促している。
 一方で文書では、「今の高校生にとっても、深い理解を伴った知識や思考力、判断力、表現力を問うことをより重視した問題で、自分の力を試すことができるもの」とアピールしている。
 17年度試行調査の対象は、国語と数学I・数学A(いずれも記述式を含む)が高校2年生以上、数学Ⅱ・数学Bや地理歴史科、公民科、理科の計9科目が原則高校3年生。英語試験に関しては別途18 年2月に実施を予定している。
 また、18年度も11月に大学を会場として試行調査を実施。19年度に「確認テスト」を行った上で、本テストに臨みたい考えだ。
 ところで試行調査の名称は、7月の共通テスト実施方針まで「プレテスト」とされていた。9月24日に入試センターが東京都内で実施したシンポジウムで山本廣基理事長は、名称を変更した理由について、出題されたような問題が本テストでも出されるという誤解を招かないようにするためだと説明した。
 試行調査では、マーク式問題で思考力・判断力・表現力を問うために、▽当てはまる選択肢を全て選択される問題▽解答が前問の解答と連動する問題▽解なしの選択肢を解答させる問題──なども出題する。ただし、これらの作問が現段階で個別大学の入学者選抜に耐え得る形で毎年、安定的に出題し続けられるかは依然不透明で、その課題を解決するための「試行調査」だとみられる。
 入試センターの大杉住子審議役(前文科省教育課程課教育課程企画室長)は先のシンポで、新テスト実施企画委員会では「創造性と持続可能性を合言葉に」作問を検討していると紹介。一方で、入試で出題される問題は、大学の教育理念や大学入学時点で求める力はどのようなものかを受験生や初等中等教育関係者に伝える「メッセージ」だと位置付けた。試行調査を含め、出題される問題は高校以下の授業改善にとっても参考になりそうだ。


(渡辺敦司/教育ジャーナリスト)

渡辺 敦司(わたなべ・あつし)

1964年、北海道生まれ。
1990年に横浜国立大学教育学部を卒業して日本教育新聞社に入社し、編集局記者として文部省(当時)、進路指導・高校教育改革などを担当。
1998年よりフリーとなり、「内外教育」(時事通信社)をはじめとした教育雑誌やWEBサイトを中心に行政から実践まで幅広く取材・執筆している。

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