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「学びの基礎診断」「共通テスト」

この稿が出るころには、高大接続改革をめぐる「高校生のための学びの基礎診断」「大学入学共通テスト」の実施方針と、個別大学にかかる2021年度大学入学者選抜実施要項の見直し予告通知が、正式に発表されていることだろう。5月中旬に2度目の高大接続改革チーム「高大接続改革の進捗状況について」が公表され、パブリックコメン卜(意見公募手続)を経て決定された。
 2019年度から創設される「高等学校基礎学力テスト」は、「高校生のための学びの基礎診断」に名称が変わった。テストという名称が受検者を「選抜」する印象を与え,導入目的や機能が正確に伝わりにくいためだとしている。小中学校で全国学力・学習状況調査の名称を「全国学力テスト」(全国学テ)でなく「全国学力調査」(全国学調)と言い換えるのと同様の傾向だろう。
 CRT(コンピューター活用型テスト)方式やIRT(項目反応理論)方式の当面見送りは既定路線としても、ここに来て大きな路線変更が行われた。大学入試センターの後継組織が直接実施する方針を改め、民間の試験等を国が認定することにしたのだ。高校の多様な学習活動を念頭に、各校の実態に応じて選択可能な測定ツールの開発・提供とその利活用を促進することを目指すとしている。それによって高校でも指導の工夫・充実やPDCAサイクルの取り組みを促進したい考えだ。
 一方、20年度からの「共通テスト」は焦点だった国語と数学で記述式問題を導入することについて、入試センター(後継組織の言及なし)が作問・出題し、採点は民間事業者を活用することにした。国語は80〜120字程度の問題を含め3本程度、数学は数式・問題解決の方略などを問う問題を3問程度出題する。これによって各教科の試験時聞が10〜20分伸びるが、試験日程は変えない。
 英語は4技能評価を行うため民間の資格・検定試験を活用することにし、パブコメ段階では2案を示しながらも、最終的には現行指導要領下の23年度までは引き続きセンターのマークシート問題も出題することになった。
 個別選抜に関しては、一般入試・AO 入試・推薦入試という区分を「一般選抜」「総合型選抜」「学校推薦型選抜」に名称変更するとともに、総合・推薦では小論文、プレゼンテーション、教科・科目テスト、共通テストなどのうち、いずれかの活用を必須化する。
 基礎診断などによって高校までに知識・技能をしっかり身に付けさせ、共通テストで思考力・判断力・表現力までを測り、個別選抜では主体性・多様性・協働性(学習意欲)を含めた学力の3要素を全て評価して入学者を決定する、というのが高大接続改革の基調になっている。

(渡辺敦司/教育ジャーナリスト)

渡辺 敦司(わたなべ・あつし)

1964年、北海道生まれ。
1990年に横浜国立大学教育学部を卒業して日本教育新聞社に入社し、編集局記者として文部省(当時)、進路指導・高校教育改革などを担当。
1998年よりフリーとなり、「内外教育」(時事通信社)をはじめとした教育雑誌やWEBサイトを中心に行政から実践まで幅広く取材・執筆している。

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