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「高大接続システム改革」

文部科学省の「高大接続システム改革会議」が1年にわたる検討の末に、最終報告をまとめた。大学入試センタ一試験に替わる「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」の創設が2020年と5年も先であること、そもそも新テストの中身に不透明な部分が多いこともあって、報道は総じて扱いが小さく、批判的なトーンも強かった。この問題を、どう考えればいいのだろうか。
 同会議は、2014年12月の中教審「高大接続改革答申」と、翌15年1月の文科省「高大接続改革実行プラン」を受けて、同年3月に発足した。答申は、とかく「大学入試改革」を打ち出したものと言われることが多いが、答申の正式名称にもある通り「高等学校教育、大学教育、大学入学者選抜の一体的改革」であり、しかも入学者選抜は「入試」にとどまらない。当時の中教審会長だった安西祐一郎・システム会議座長は「入試改革について聞きたい、と言うなら取材は受けない」とさえ語っている。この一体改革を「高大接続システム改革」と位置付けることが、報告書でも明記されている。
 ということは高校改革や大学改革、さらには「入試」以外の入学者選抜についても、さぞ突っ込んだ議論が行われたろう……と思いたいところだが、具体的な検討を「新テスト」「多面的な評価検討」の二つのワーキンググループ(WG)に委ねたこともあり、発足後しばらくは中教審の蒸し返しのような論議が続いた。
 そんな中で出てきた9月の中間まとめは、学力評価テストから「合教科・科目型」「総合型」の出題という文言が消え、「高等学校学力評価テスト(仮称)」も現行学習指導要領下(2023年度まで)は入学者選抜の資料に使わないなどとする、答申から後退するものになった。その後、関係者ヒアリングなどを経て、学力評価テストの年複数回実施を当面見送るなど、更に後退した。
 「一体的改革」を強調しながら、高校教育と大学教育に関しては、極端に言えば既に進行している初等中等教育の教育課程改革と高等教育の「三つの方針(ポリシー=P)改革」を整理しただけで、個別大学の選抜改革に至っては実質WG から1回報告を受けただけで議論らしい議論はせず、実行プランでは「順次実施」するはずだった一般・推薦・AOの入試区分廃止も、新テストに合わせた2021 年度入試に先送りしてしまった。
 肝心のシステム会議自身が「入試」改革に終始してしまった――と評したら厳しすぎるだろうか。結局は現状でできることだけで、ターゲッ卜イヤーである2020年度を迎えるしかない。あえて時代がかった死語を使えば、システム改革は「永続革命」だ、ということか。


(渡辺敦司/教育ジャーナリスト)

渡辺 敦司(わたなべ・あつし)

1964年、北海道生まれ。
1990年に横浜国立大学教育学部を卒業して日本教育新聞社に入社し、編集局記者として文部省(当時)、進路指導・高校教育改革などを担当。
1998年よりフリーとなり、「内外教育」(時事通信社)をはじめとした教育雑誌やWEBサイトを中心に行政から実践まで幅広く取材・執筆している。

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